それでも諦めない。52歳で家を買う(5)

再び住宅展示場へ。

翌年、2016年夏のこと。暫く諦めていた戸建てを探し始める。ことの初めは、ハウスメーカーに照明機器を卸している友人から「家を買うなヘーベルハウスしかない」と直球な意見を聞いたからだ。防音性や強度が高く、大震災でも残っている家はヘーベルハウスだけ。色んなハウスメーカーと取り引きがあるその人が言うなら間違い無いだろうと思った。「好きか嫌いかだけ」と言う。加えて「死ぬまで補修することがない。」この言葉を鵜呑みに住宅展示場に行った。

ローンが通らないのも分かっている。あれから1年経ったが、3年分の納税証明が必要。1年分足りない。町の不動産会社でさえローンが通らなかったのに、更に高額になるハウスメーカーの家が買えるのか? そんなモデルハウスを見ても仕方がないと思いながらも、ヘーベルハウスがどんな物か確かめる必要がある。夢を実現するにはイメージが大事。根拠のないポジティブ気分はいつもあった。

展示場がある大阪万博公園

心は、ヘーベルハウス。でも、恥ずかしくて帰りたい。

実際に見たモデルハウスは現実味が全くない豪邸。でも販売員の方は丁寧に案内してくれた。50代の夫婦が見学に来たので、冷やかしに見えなかったのだろう。買える訳がない豪邸を内心ドキドキしながら見て回る。なのに、買う気満々の素ぶりをチラつかせ、あーだこーだと質問していた。「ピアノを弾くので防音はどうですか?」奥さんが尋ねる「ヘーベルハウスヘーベル材という材質でできた家のことです。このヘーベル材は映画館やコンサートホールの壁に防音材として使われています。なので、一般のお家でも十分効果があります。」素晴らしい回答に感動しながら、奥さんがピアノのことを話したのが気にかかった。「ピアノ= 金持ち」と誤解されないか心配になる。一通り見学を終え、リビングでお茶をいただいた。ドキドキは更に加速。商談が始まりそうな気配が漂い始めた。

ヘーベルハウス販売員(以後、ヘーベルTと呼ぶ)は単刀直入に「失礼ですが、年収はどれくらいですか?」いきなりこの話し、早すぎないか? 以前の不動産でも、ローンのプランを相談するまで出さなかったフレーズ。それを初球でしてるとは。あまり低く答えると冷やかしだとバレる。「自営なので多い年と、そうでもない年があります。」答えてない。「大体で結構です。平均で」誘導が始まる。「いくらかな?」と横にいる奥さんの顔を見る。「では、ご自身の感触ではどうですか?」感触ってなんだ?意味不明の質問に、何だか気が楽になった。結局、正直に以前ローンが通らなかったこと、借りかえも断られたこと話しをした。お金もないのにここへ来たことが、恥ずかしくなった。

 

ヘーベルハウスが好きだ。熱意だけは伝えよう。

私の仕事は音楽や映像を作る仕事。奥さんはピアニストで何枚もCDを出していて、名前は知られていないけど、音楽は色んなところで使われている。など、色々話しながら「家を買うならヘーベルハウスしか考えていない」「他のメーカーは見ていないし、見るつもりもない」と本気を見せる。最後に奥さんが「夢を実現させるためイメージを固めに来ました。」と、今は買えないことを伝えた

ヘーベルTは「ご来店の記念品があるので少々お待ちください。」と奥に入って行った。この客は買えないと悟って、お引き取り下さい モードになった。二人とも涙をこらえ、記念品は何だろうと、些細なことを気にしていた。

お茶のお代わりを女性従業員が持って来てくれた。何だか遅い。そんなに大きな記念品なのか? 「洗剤ちゃう?」奥さんが言う。「いや、一応建て前でパンフレットを付けてくれると思う」「せやな」小声で話しながら早くここを出たい気持ちになっていた。「お待たせして申し訳ございません」やはり、パンフレット一式だった。記念品はペットボトルのクーラーケース。暑い夏に嬉しい。「ローンはお任せ下さい。大丈夫です。」「えっ。」一瞬聞き取れなかった。「どう言うことですか?

 

ヘーベルハウス始まって以来の小さい家を作って下さい。52歳で家を買う(6)

★『52歳で家を買う』と題した連載ブログです。お時間があれば、52歳で家を買う(1)から読んで下さい。

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