「家はどんな色?」「白やで、お母さん。」

家を買うと、誰にも話していなかった。友人や家族にも。最近はやっと落ち着いてきたので、身内には話す事にした。

義母は明るい認知症

独居している義母は認知症だが、明るい認知症。何度かグループホームを考えたが、本人が家から離れなくないと頑固。それにケアマネさんも「お母様の場合、(グループホームに入ると)余計に悪くなるかも知れませんね。」と言う。義母が記憶している登場人物は奥さんと、奥さんの妹と、私の3人だけ。亡くなった義父は写真を見ても「誰?この人。天童よしみ?」毎回、演歌歌手の名前をテキトーに言う。

デイサービスが無い日は、私達3人が交代で義母の世話をする。朝から夕方まで一緒に過ごし、ヘルパーさんに引き継ぐ。今日は奥さんの当番。私も仕事が無いので付いて行った。

認知症が一時停止。普通の会話

「お母さん、今度、家、買うねん。」奥さんは、無駄だと分かっていても、喜びの気持ちを伝えようと話しかけた。「ほんまー。おめでとう。」まともな返事は何年ぶりだろう。義母は普通に会話を始めた。「お母さんは脳がおかしいから、何んにもでけへんねん。ごめんなー。」微妙に崩れているが、概ね普通だ。「引き出しにお金かるから、持って行きー。」無いのは分かっている「ありがとう。お母さん。」義母は続けて「お母さんはここが家やねん。いつでも泊まりに来てなー。今度、お母さんも行くわなー。」

義母の認知症はかなり進んでいる。カレーを作るつもりで、鍋に石けんを入れたことがあった。これを機に、料理はヘルパーさんにお願いしている。また、普通の会話は3分も記憶出来ない。「お茶持ってこよか?」は日に100回以上は言う。そんな義母が、普通(?)に会話しているのだ。

義母は「家はどんな色?」一般的にあまり聞かない質問に「白やで、お母さん。」「えぇなー。白。なんでも白がえーわー。」「お茶持ってこよか?」ここで数年ぶりの普通(?)の会話は終わった。

小さい、白い家。

 

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