土地の引渡しと、イチヂクの木。

購入した土地がようやく更地になり、登記が完了した。手続きは銀行で行う。売主さんと土地管理をする担当(住建D)、ヘーベルハウスの担当(ヘーベルT)立会いの元、書類の確認から残金の支払いまで、滞りなく完了。大きな買い物は今のマンション以来だが、その時とはムードが全然違う。何というか、"譲り受ける"といった大切な行事に感じた。

あれは、イチヂクだったんですか。

「これで、このお土地は買主様のものになりました。おめでとうござい。」若い住建Dは、いつもよりキリッとした言葉で場を締めた。ヘーベルTもやや硬い表情だった。売主さんが、「本当にありがとうございます。カボスだけでなく、イチヂクの木も残して下さって。」イチヂク?「あれは、イチヂクだったんですか。葉っぱが可愛いから、奥さんが残してもらえるように頼んだんです。」売主さんの喜ぶ笑顔を見て、涙が込み上げてきた。「なんで、あなたが泣くん?わたしが頼んだのに。それにあのときは"いらんなー"って言ってたやん。」そうだ。「反省の気持ちとミックスやんか」涙が止まった。

「この木も残してもらえますか?」

時間があれば解体作業を見に行っていた二人は、ここに新しい家が建つ喜びよりも、古い家が壊されていく様子が悲しくなっていた。カボスには張り紙がしてある。"この木は残して下さい"売主さんの字だ。少し離れて背丈ほどの木があった。それがイチヂクとは知らずに奥さんは「あれも残してもらおー。」私としては他の木を植えたかったので、いらないと言ったが、奥さんは現場監督さんのところまで近寄って行った。「この木も残してもらえますか?」監督は気軽に了解してくれた。「良かったら、これを」トートバッグから"いろはす"を渡して戻ってきた。

「OK出ました。」奥さんのこういった行動は、素直に受け入れる方がいいと、長年の付き合いで分かっている。「あれは何の木やろなー?」「何でもいいやん。それに、カボスだけ残したらカボスが寂しいかも知れんやろ。きっと何か共有してるばずや。」時々、奥さんはスピリチャルになる。しかし、今となっては残して良かったと思う。イチヂクの実がなったら、売主さんに届けよう。

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★この記事は「52歳で家を買う」と題したシリーズになっています。お時間がある方は「52歳で家を買う(1)」から是非読んで下さい。

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