『細雪』と『白い家』。家は幸せの証。

奥さんの母が認知症であることは以前、このブログでも書いたことがある。そして、デイサービスがない日は、私と奥さんと奥さんの妹の三人が交代で見ている。今日は私の当番。朝9時に着くと玄関前のお花にお水をあげる。お花を植えているのは、不審者を避けるため。今はコスモスが満開だ。一日の過ごし方はお昼を食べ、映画(DVD)を見ること。私が作るお昼ご飯は、いつも焼きそばと決まっている。義母は焼きそばが大好物。また、私が作った焼きそば以外、”焼きそばとは違う” と言うほど好きだ。とても認知症とは思えない発言を時々する。

今日の(も)映画は『細雪』

私:「今日は谷崎潤一郎の『細雪』やで、お母さん。」市川崑監督作品、1983年日本映画の名作。

義母:「昔みたわ。またいつか観たい思ててん」

先週もその前も観ている。私もこの映画が好きなので何度でも観れるが、義母のように毎回新鮮に観れないのが残念だ。

認知症の特徴として、話の内容は大体が自分のこと。”自分がしたいこと、して欲しいこと” を話す。人に問いかけるような話しはしない。そんな義母が私に質問してきた。

認知症の義母が覚えていた、白い家を作ること。

義母:「白い家はできたん?」

全く普通の会話が始まった。しかも、義母にすれば随分昔の話しを覚えている。

私:「お母さん、覚えてたん?僕らが、白い家を作ること。」

義母:「知らんよ。」ん??

私:「 まだまだ。来年の春に出来るねん。」

義母:「ほんま〜。できたら行くわな。」

チョットちぐはぐな会話だが、まだ続いた。

義母:「和室が無いって?」

そんなこと話していないが、確かに和室は無い。

私:「無いよ。なんで?」認知症の義母とこれだけ長い会話のラリーは初めてだ。

義母:「白い家やからいらんなー。それで、大きいん?」

私:「家は小さいけど、お庭は大きいよ。芝生にするねん。」チョット高度な返事を試みた。

義母:「子犬も飼えるな!」義母は満面の笑顔。

読めた!?義母がカラオケでよく歌う『小坂明子/あなた』の歌詞とかぶっていたのか。歌詞は白い家ではなく “小さい家” だが、ミックスして覚えていたのかも知れない。それにしても ”和室が無い” とは何でだろう?

家は幸せの証

帰りの電車で、今日の事を思い出していた。義母はどんなに認知症が進んで独居が困難になってきても、自分の家を離れたがらない。『細雪』は本家や分家、姉妹など、家や家族の話し。そんな映画や『小坂明子/あなた』が好きで、白い家のことを覚えていたりする。義母の認知症は、家にまつわる幸せの記憶だけを残し、目の粗いざるで振るい落としているのかも知れない。義母にとって(すべての人にとっても)家は幸せの証。家を建てることにして良かったと思った。

 

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