お客さん用の布団は無駄ではないという話。

今回の"捨て捨て” は大物だ。押入れの中で、ずっと眠っていたお客様用の布団。今のマンションに引っ越して来るとき、母から送られてきたものだ。要らないとは言えず受け取った。8年間に2度、母が来た時に使った。無駄ではなかったが、もういいだろう。実は同じことが結婚したとき(20年前)にもあった。その布団は私たちが使っていた物よりずっと良い品だったので、ここに引っ越すときに交換して、私たちの布団を処分した。

母に報告

先日、弟家族と暮らしている母に会いに行った。「お母さん、来年の3月に引っ越しするねん。」母は、「何かあったんか?仕事は大丈夫か?」悪い方に考え、心配している。「ちゃうちゃう、家を買うねん」ローン審査も合格したので、母には心配はかけないと言った。「よかったな。二階建て?」「そう、新築一戸建て。二階建てやで。」母は以前、父と二人、田舎の鹿児島に平屋を建て住んでいた。「しんどないか、二階建ては?」「大丈夫やと思う。小さいし。」足が弱ってきた母は、私たちの将来を案じていた。

「お母さんにもらった布団、処分しようと思ってんねんけど、ええな?」一応、伺った。「ええよ。捨て。引っ越すんやろ。」母は布団のことよりローン審査に通ったことが気になった。「ヘーベルハウスの人や、銀行の人が応援してくれてん。普通は通れへんみたいやわ。」「そうか。感謝せなあかんで。マンションはどうするん?売らなあかんやろ?」母は冴えてる。「もう売れた。引っ越し代プラスくらいで売れてん。」「そうか。感謝せなあかんで。」足は少し弱っているが、81歳なので仕方がない。しかし、頭は大丈夫。

これでお客さん用の布団買い。

「ご近所には挨拶行ったんか?」「まだ、来週行こう思てる。」母はタンスの引き出しから財布を出し、3万円を奥さんに渡した。「挨拶のとき、これで何か買って行き。」奥さんと私は遠慮した。それくらいは分かっている。自分達で用意する事を伝え、お金を返そうとした。「そうか。ほな、これでお客さん用の布団買い。」どういうことだ?

さっきはお客さん用の布団を捨てることに賛成しておいて、今度は買えと言う。母は、瀬戸内寂聴さんとヨーダをミックスした眼差しで、語り始めた。「今の家でちゃんと暮らせたから、また新しい家に引っ越しできるんやろ?お客さん用の布団があったからやで。今度の家にも、一つくらいお客さん用の布団を持っとかなあかん。」要約すると、こうだ。

母の願い

家は自分達のものであって、自分達だけのもでない。困った人がいたら助けられるくらい、余裕がある暮らしをしなさい。お客さん用の布団は、それができる証のようなもの。母の言いたかったことはこれだ。

どこかの民話にでてきそうな話しだが、母は本気で話した。昔の人は自分達の食べる物がなくても、困っている人に食事を出した。これに似た話しだと思う。

お客さん用の布団は、余裕がある生活が出来るように願う、母の気持ちかも知れない。

 

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