53歳で結婚する友人と、夢は芝生の丘で散髪を。

朝から歯医者にメンテナンスに行く。(歯科医院が正しいが、あえて歯医者)そして、昼からはカット(散髪)。いつも歯医者とカットは同じ日に予約している。

53年の散髪人生を振り返っても、手掛けてくれた理容師(美容師)さんは3人しかいない。最初は母親。独身時代は理容師だった母。家族の散髪を当然のようにしていた。中学に入ってからは、母のカットセンスに疑問を持つようになり、近所のカットハウスに通うようになった。以来、10年間そこの理容師さんにお願いしていた。

カットハウスという、40年前では珍しい肩書きに興味が湧いた記憶がある。通い出して10年目に、その店は閉店した。次のカットはどうしようと思っていた頃、心斎橋でバッタリ高校時代の同級生に会った。彼女(カジさん)は理容学校を卒業してヘアーサロンに勤めているという。「この近くやねん。まだ指名が無いからペーペーやけど、頑張ってるよ。男もありの店やねん。一回来て!」それ以来の付き合いだ。

彼女にカットをしてもらうようになってもうすぐ30年。店が変わっても彼女が勤める店まで通い、奥さんも20年の付き合いになる。今ではカリスマ美容師(勝手にそう呼んでいる)として自分の店を構えている。

53歳で結婚する!?

「サプライズはないの?」カットを始めると必ず聞いてくる。

私:「家を建てる。どうだ!」

カジさん:「おめでとう!いつ?」

私:「3月完成かな。来てな。」

カジさん:「行く。庭はある?」

私:「ある。家より大きい。家が小さいとも言えるけど。芝生にする予定で、種から育てる。どう?」

カジさん:「いいなー!引っ越し祝いに、お庭でカットしよか?芝生が生えたら。」

私:「してー!面白そうやん。」

カジさん:「せやろ。私も夢やってん。芝生の丘でシャンプーして髪を切るの。

私:「そんな大きないで。カジさんはサプライズないの?」

カジさん:「凄いのあるで、弾道ミサイル級のが。結婚すんねん。」

私:「わ!おめでとう!誰と?」

カジさん:「お見合いしてん。男未亡人(?)一年前から付き合ってるけど、どうなるか分からんかったから、内緒にしてた。」

歳なんて関係ない!

相手は58歳。一人娘が来春ハワイで結婚するそうだ。そのとき一緒にカジさん達も結婚式を挙げるらしい。親子合同結婚式。素敵だ。カジさんは「お見合いやけど一応、1年付き合ってから決めてん。お客さんの紹介で同じ美容師。」52歳で家を買った私と、53歳で結婚するカジさん。歳なんて関係ないと二人で盛り上がった。

いつも結婚まで至らなかったカジさん。今回はどうして?「若い時は仕事が一番やったし、まだえーわと思ってたら、知らん間に40になったって感じ。それから50までは、もーえーかな?って。縁も無かったし。」男性に縁がなかった訳ではない。結婚に縁がなかっただけ。お見合いしても結婚するとは思ってなかったカジさん「なんかつい口が滑って、私から『結婚したい!』って言うてん。それで。」

やる時はやる。決める時は決める。男前のカジさんに感動した。「断られたら全部が終わるやろ。いままで(40代の頃)それが怖かったと思うわ。でも50超えたら、急に思い切れてん。」

『もうちょっと出来るで』

帰りは寄り道して、フェスティバルホールに『第九』のチケットを取りに行く。中之島の夕焼けを背に、歩きながらカジさんの言葉を思い出した。「50歳って境目やろ。欲張ったらあかんけど、もうちょっと出来るで。よー分からんけど。」

”よー分からんけど ”この関西人独特の無責任的表現。最後にこの言葉を付けることで、今まで話したこと全てを曖昧にする魔法の言葉。しかし、本音は”よー分からんけど ”の少し前。

『もうちょっと出来るで』今の私にはホッとする言葉だ。

 

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