買ったお店に帰って行く、幸せのメチャメチャ重い本棚。

マンションから新築戸建てに引っ越すのに、持っていけない家具がある。ソファと食器棚と本棚。どれも以前住んでいた家から持って来たもの。大体同じ間取りで同じくらいの広さだが、窓の位置や建具の配置が関係して、どうしても置くことができない。(ソファについては前記事参照)

食器棚は何とか置くことは出来るが、これを機会に無くても済むように、食器を整理しているところ。後一歩まできている。問題は本棚だ。見た目の10倍は重いチーク材でできた棚。

15年前に買ったチークの本棚

今のマンションに引っ越してくるときのこと。「大人3〜4人でないと運べないですよ。」引っ越し業者さんが見積もりに来た時に念を押した。「そうですか?ちょっと。、、、、、。」一人で持ち上げようと試みた業者さん。「本当ですねー。こんな重い本棚は初めてです。」

このチークの本棚は、古材で作った家具を扱っている神戸のお店で15年前に買ったもの実際に使われていた古い農耕具や、丸木舟の部材から作られている。その為、メチャメチャ重たい。この本棚を普通の下取りや、引き取り業者に依頼するのは無理かも知れない。

買ったお店で引取ってもらう

ならば、買ったそのお店に引き取ってもらえないかと考えた。早速、メールをする。”ずっと気に入って使っていた” こと、“新居に入らないために泣く泣く手放す” ことを書いて送信。

翌日、連絡があった。喜んで引き取ってくれるらしいありがたいことに、僅かだか下取の形を取ってくれた。ただ、引取りは職人さんが一人で来るという。なので、私が手伝うことになった。

「覚えてます。覚えてます。おなた方でしたか。覚えてます。」「そんなに覚えてますか?」「覚えてます。覚えてます。」一年分以上の"覚えてます"を聞いた。15年前、この本棚を見に行った時、工房にいた職人さんだった。「覚えてます。あの日のこと。私が磨いていたこの棚を、奥さんが選んでくれたの。覚えてます。」奥さんは職人さんが棚を磨いている姿に感動して、他をほとんど見ないで決めた。おそらく10分くらいで。「大体のお客さんは、広いファクトリーを散々見て、”また来ますって” 感じですわ。個人で買うには難しい家具ですから。業者相手の商売やしね。」

買ったお店に帰って行く、幸せの本棚

奥さんはまた、涙目になりながら「大切に磨いてもらっていたこの本棚が、何となく、私の所に来たいように見えてん。」その時のことを思い出した。私がもっと他も見たいと言っても、奥さんはサッサと支払いを始めていたことを。

私も手伝ったが、重い本棚を職人さんは手際よく台車に乗せ運び出した。大人3〜4人は必要かと思っていたが、職人さん一人でも運べそうな勢いだった。「流石ですねー。こんな重い本棚を」「毎日、動かしてますから。さすがに持ち上げるのは無理ですけど。」

買ったお店に帰って行く。この本棚は私達二人を幸せにするため、人生の少しの間そばにいてくれた。またいつか、誰かを幸せにするのだろうと思うと、涙が溢れて止まらない。

関連記事:食器は二人分にする。キッチンから食器棚を無くす計画。

★ 関連記事:申し訳ない、白いソファさん。新居に置く場所がない。

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